AOS R(現在最多の全身麻酔)
2018年 現在最多の全身麻酔方法。
A = Air
O = Oxygen
S = Sevoflurane セボフルラン (吸入麻酔薬)
+R = Remifentanil レミフェンタニル (鎮痛薬)
麻酔の三要素は鎮静鎮痛筋弛緩 なのに、AOS+R って表現だと筋弛緩が入ってない。
筋弛緩≒ロクロニウムで当たり前だからかな。
<AOS-Rの実態>
鎮静: セボフルラン(吸入麻酔薬)だけでは導入が遅い & 患者さんに嫌な臭いがする ため、プロポフォール(静脈麻酔薬)で急速導入してからセボフルランで維持する
鎮痛;レミフェンタニルに加え、術中侵襲に対してフェンタニルで調整する事が多い
<全身麻酔の今後の動向>
TIVA
10年ほど前の経静脈麻酔薬(鎮静剤) プロポフォールの認可後広まりつつあるのが、TIVA (total iniravenous anesthesia) 全静脈麻酔法。(=吸入を使わないってこと)
利点:吸入麻酔を使わないのでOPE室/大気汚染がない、OPE室以外でも使える
問題点:吸入麻酔にくらべ効き具合に個人差が大きい
解決策: TCI (total controlled infusion), BIS モニター(脳波モニター) を使用する
★プロポフォールは小児で原則禁忌(propofol infusion injury)
AOD-R
最近 吸入麻酔薬(鎮静剤) デスフルラン(切れが良い)が発売され、今後 AOS-Rでなく、AOD(デスフルラン)-R になる過可能性も有る
*用語
TCI (total controlled infusion)
BIS モニター(bipercel index二波長指数)。脳波モニター。0(脳死)-100(覚醒)。麻酔中は40-60を保つ。
エントロピー モニター;脳波 EEG (electroencephalogram)、前額部筋電図 fEMG (frontal electromyogram) から求めた覚醒度を表す値。SE(state entropy, 0-91), RE(response entropy, 0-100)があるが、麻酔中は いずれも40-55 を保つ。
点滴速度
1秒に1滴 = 180 ml/h
・(1秒に1滴)=(1時間に60×60=3600滴)=(1時間に3600/20=180ml)
∵ 20滴 = 1ml
60 ml/h= 3秒に1滴 ∵ 180/60 = 3( ≒ 1500 ml/日)
40 ml/h= 4.5秒に1滴 ∵ 180/40 = 4.5( ≒ 1000 ml/日)
ちなみに小児用のルートなら、60滴 = 1 ml なので、1秒に1滴 = 60 ml/h。
実感を掴むには速度設定した輸液ポンプを見ると良いかも
参考;開腹手術なら300ml/h くらいで保つ
鎮静
麻酔の3要素 鎮静 鎮痛 筋弛緩 の一つ。
●鎮痛→鎮静(疼痛が有ると鎮静もなかなか効かない)
●持続静注に使える鎮静薬:ミダゾラム(ドルミカム)・プロポフォール(ディプリバン)・ケタミン(ケタラール)・デクスメデトミジン(プレセデックス)
プロポフォール(ディプリバン) 導入・切れが良く最も使われる。
ケタミン(ケタラール)「解離性麻酔薬」=新皮質と視床だけ抑制、辺縁系・網様体賦活系は活性化 → 血圧・心拍数 低下なし、呼吸抑制も少ない。筋注もあり。
じゃあなぜプロポフォールに負けてるのか?→切れが悪い・悪夢がある
ミダゾラム(ドルミカム);BZP自体の副作用がある+鎮静が深いためICU滞在延長しがち→プロポフォールに押され気味。
デクスメデトミジン(プレセデックス) 使用期間5日間を超える場合はエビデンスが少ない
★TIVA 全静脈麻酔薬 total intravenous anesthesia : 吸入を使わない、IVのみ の 鎮静+鎮痛+筋弛緩。
院内肺炎
院内肺炎:入院48時間以降の肺炎
I-ROAD
cf. 市中肺炎:A-DROP(Age, Dehydration, Respiration, Orientation, Pressure)
①
・Immunodeficiency: 悪性腫瘍または免疫不全状態
・Respiration: SAT>90 維持するためにFiO2>35%(≒4Lカヌラ)を要する
・Orientation: 意識レベルの低下
・Age: 男性>70歳、女性>75歳
・Dehydration: 乏尿/脱水
② CRP≧20・胸部Xp一側肺の2/3以上
<抗菌薬の選択>
① 該当項目 ≦2/5 項目 & ② 該当なし→ 第三セフェム・βラクタマーゼ配合ペニシリン(軽症群肺炎球菌・インフルエンザ菌・クレブシエラ) 結局セフトリアキソンとか。
① 該当項目 ≦3/5 項目 or ② 該当あり:緑膿菌も鑑別に含める
中等症群:第三・四セフェム・クリンダマイシン
小児の熱傷
小児の熱傷
・熱傷の範囲を評価;5の法則 小児は体幹前20、後20 (乳児は頭が20・小児は15) Burn index 10%以上で重症 (70%以上だと死亡率95%)
・熱傷の深さを評価;
紅潮のみ→1度 (EB epidermal burn)
水疱・疼痛あり→2度 (SDB superficial dermal burn 10日・DDB deep dermal burn 3週間)
疼痛なし→3度 (DB deep burn)
・ワセリンで保護、エスアイエイドで被覆
・輸液;
とりあえず、
14歳-大人 500ml/h
6-13歳 250ml/h
-5歳 125ml/h
で初めて、熱傷面積 が判明したら、
Baxter の公式(Parkland法) 乳酸化リンゲル4×熱傷面積(Burn indexとの混同に注意)×体重(kg) 、乏尿にならないようにする(大人 0.5ml/kg/h)
受傷後 24 時間の総輸液量=4ml×TBSA(%)×体重(kg)
(小児の場合,受傷後 24 時間の総輸液量=3ml×TBSA(%)×体重(kg))
● 受傷初期 8 時間:総輸液量の 50% を投与
● 次の 16 時間に残り 50% を投与
・感染対策;汚染創・DM(易感染)・小児・周術期。推奨度C1。 (成人では通常推奨はされない)