鎮静

麻酔の3要素 鎮静 鎮痛 筋弛緩  の一つ。

●鎮痛→鎮静(疼痛が有ると鎮静もなかなか効かない)

●持続静注に使える鎮静薬:ミダゾラムドルミカム)・プロポフォール(ディプリバン)・ケタミン(ケタラール)・デクスメデトミジン(プレセデックス)

 

プロポフォール(ディプリバン) 導入・切れが良く最も使われる。

ケタミン(ケタラール)「解離性麻酔薬」=新皮質と視床だけ抑制、辺縁系網様体賦活系は活性化 → 血圧・心拍数 低下なし、呼吸抑制も少ない。筋注もあり。

 じゃあなぜプロポフォールに負けてるのか?→切れが悪い・悪夢がある

ミダゾラムドルミカム);BZP自体の副作用がある+鎮静が深いためICU滞在延長しがち→プロポフォールに押され気味。

デクスメデトミジン(プレセデックス) 使用期間5日間を超える場合はエビデンスが少ない

 

★TIVA 全静脈麻酔薬 total intravenous anesthesia : 吸入を使わない、IVのみ の 鎮静+鎮痛+筋弛緩。

 

 

 

院内肺炎

院内肺炎:入院48時間以降の肺炎

I-ROAD

 cf. 市中肺炎:A-DROP(Age, Dehydration, Respiration, Orientation, Pressure)

① 

・Immunodeficiency: 悪性腫瘍または免疫不全状態

・Respiration: SAT>90 維持するためにFiO2>35%(≒4Lカヌラ)を要する

・Orientation: 意識レベルの低下

・Age: 男性>70歳、女性>75歳

・Dehydration: 乏尿/脱水

 

CRP≧20・胸部Xp一側肺の2/3以上

 

<抗菌薬の選択>

① 該当項目 ≦2/5 項目 & ② 該当なし→ 第三セフェム・βラクタマーゼ配合ペニシリン(軽症群肺炎球菌・インフルエンザ菌・クレブシエラ) 結局セフトリアキソンとか。

① 該当項目 ≦3/5 項目 or  ② 該当あり:緑膿菌も鑑別に含める

  中等症群:第三・四セフェム・クリンダマイシン

  重症群:上記に加えて アミノグリコシドニューキノロンを。

 

小児の熱傷

小児の熱傷

・熱傷の範囲を評価;5の法則 小児は体幹前20、後20 (乳児は頭が20・小児は15) Burn index 10%以上で重症 (70%以上だと死亡率95%)

・熱傷の深さを評価;

  紅潮のみ→1度  (EB epidermal burn)

  水疱・疼痛あり→2度 (SDB superficial dermal burn 10日・DDB deep dermal burn 3週間)

  疼痛なし→3度  (DB deep burn)

・ワセリンで保護、エスアイエイドで被覆

・輸液;

とりあえず、

 14歳-大人 500ml/h

 6-13歳   250ml/h

 -5歳    125ml/h 

で初めて、熱傷面積 が判明したら、

Baxter の公式(Parkland法) 乳酸化リンゲル4×熱傷面積(Burn indexとの混同に注意)×体重(kg) 、乏尿にならないようにする(大人 0.5ml/kg/h)

 受傷後 24 時間の総輸液量=4ml×TBSA(%)×体重(kg)

(小児の場合,受傷後 24 時間の総輸液量=3ml×TBSA(%)×体重(kg))

  ● 受傷初期 8 時間:総輸液量の 50% を投与

  ● 次の 16 時間に残り 50% を投与


・感染対策;汚染創・DM(易感染)・小児・周術期。推奨度C1。 (成人では通常推奨はされない)

 

 

糖尿病治療薬

★経口血糖降下薬:7種

★注射薬:2種類

 

経口血糖降下薬

以下の7つ。各グループの中で★が使われやすい。その他は主に副作用の観点で★の薬に劣る。

①抵抗性改善

ビグアナイド

チアゾリジン(浮腫などの副作用が出やすい)

②分泌促進

SU(食事に非依存性なので低血糖を起こしやすい)

グリニド(食事に非依存性なので低血糖を起こしやすい)

DPP-4阻害薬 ☆ 食後血糖の上昇に応じて血糖をさげるので低血糖になりにくい(経口の中では優先だが(参考)の理由で注射薬のDLP-1受容体作動薬が優先)

③吸収阻害

α−GI(腸管に糖が溜まって最近が分解することによってお腹が張ったりする)

SGLUT-2阻害薬

 

トレシーバ → ビグアナイド・チアゾリジン・SU薬・SGLT-2 トレシーバ

ノボラピッド→グリニド・DPP-4i・αGI

 

注射薬(2つ)

・インスリン

・GLP-1受容体作動薬 :New!

 

参考)

DPP-4阻害薬とGLP-1・GIPの関係

 

 

 

1型糖尿病 の自己管理(カーボカウント・500ルール・1800ルール)の実際

1型糖尿病では、2型糖尿病 と違って  食事制限・間食の制限 必要なし!

 

その代わり、これから食べる食物中の炭水化物(g)をカウントして(カーボカウント

必要インスリン量を自分で計算して(by「500ルール」「1800ルール」打ってから食べる

* 炭水化物のみカウントする理由;3大栄養素のうち、脂質・蛋白質と違い、直ぐに吸収されて血糖値を上げるため。

 

まずは「カーボカウント」「500ルール」「1800ルール」 を学んで習得してもらう。

 

・カーボ = carbohydrate, 炭水化物。

・「500ルール」:これから食べる炭水化物量に対し、必要なインスリン単位数を計算する

 1単位のインスリンで打ち消せる炭水化物量(g) = 500 ÷ 1日の総インスリン単位数

・「1800ルール」:前回血糖値(4検)の高かった分を下げるのに必要なインスリン単位数を計算する

 1単位のインスリンで下がる血糖値(mg/dl) = 1800 ÷1日の総インスリン単位数

 

→  「500ルールで求めた単位数」+「1800ルールで求めた単位数」= 打つべきインスリン単位数

 

例題)

Aさんの場合

昨日のインスリンと血糖値

朝食前ノボラピッド(超速効型インスリン) 4単位  朝食前血糖値 112

昼食前ノボラピッド(超速効型インスリン) 5単位  昼食前血糖値 130

夕食前ノボラピッド(超速効型インスリン) 5単位  夕食前血糖値 155

眠前トレシーバ (持続インスリン)    6単位  眠前血糖値  125

 →1日の総インスリンは (4+5+5+6=) 20  単位

 

本日の朝食前血糖値205, これから食べる食事に含まれる炭水化物が75g だった場合、昼食前は何単位打てばいいか?

 

解答)

①「500ルール」でこれから食べる炭水化物量に対し必要なインスリン単位数を求める

・「500ルール」:1単位のインスリンで打ち消せる炭水化物量(g) = 500 ÷20 = 「25」

 

これから食べる炭水化物量 75g

 → 打ち消す為に必要なのは 75÷ 25 (500ルールより) = 3単位 

 

 ② 「1800ルール」でもともと高かった分の血糖値を補正

・「1800ルール」:1単位のインスリンで下がる血糖値(mg/dl) = 1800 ÷ 20 = 「90」

(この数を"インスリン効果値"という)

朝食前血糖値 205 mg/dl、朝食前の理想血糖値は<130なので、あと90くらいは下げていい。

→1単位補正に必要

 

故に、 3単位 + 1単位 =4単位

 

 

 

★参考:50 ルール

1カーボ=10g 炭水化物 (or欧米では15g) として食事 のカーボ数を表し、1カーボをうち消すのに必要なインスリン数(インスリン/カーボ比)をかけて必要インスリン数を求める方法。

 インスリン/カーボ比=(1日の総インスリン単位数)÷ 50

要は500ルールに「カーボ比」という概念を挟んで計算してる。私的には500ルールの方が分かりやすい気がする。

 

★理想血糖値

血糖値は、通常4検

・朝食前 (眠前 持続型インスリンが決める)    <130 が理想

・昼食前 (朝食前 超速効型インスリンが決める)  

・夕食前 (昼食前 超速効型インスリンが決める)

・眠前  (夕食前 超速効型インスリンが決める)

 

 

多発性骨髄腫診断基準

診断基準(国際骨髄腫作業部会 IMWG International Myeloma Working Group)

「症候性骨髄腫」

血清M蛋白 or 尿中M蛋白骨髄中形質細胞>10% or 形質細胞腫臓器障害

 ★臓器障害:CRAB O (Ca, Renal, Anemia, Bone, Other)
   ・高Ca(>11mg/dl) or 基準値+1以上

   ・腎不全(Cr >2mg/dl)

   ・Hb(<10g/dl)or 基準値−2 以下

   ・骨粗鬆症 +(溶骨病変 or 圧迫骨折)

   ・過粘稠症候群 or アミロイドーシス or 年2回以上の細菌感染

 

診断後

・重症度分類(予後の予測には役立つがこれによる治療方式には未だ違いはない)

ISS (International Staging System) 血清β2ミクログロブリンアルブミン 値のみで決定

高リスク病型・標準病型 (FISH・染色体分析)

 

 

参考)

その他の形質細胞腫 (by IMWG)

・MGUS(M蛋白出てるけど<3で臓器障害-)

・無症候性骨髄腫(M蛋白>3 or 形質細胞>10% だけど 臓器障害-)

・症候性非分泌骨髄腫(M蛋白- だけど形質細胞>10 / 形質細胞腫+, 臓器障害+)

・骨の孤立性形質細胞腫(ただ一箇所の形質細胞腫による骨破壊のみ)

・髄外性形質細胞腫(形質細胞腫のみ)

・形質細胞白血病(末血形質細胞>2000/μL, 形質細胞分画>20%)

臓器障害があるのは、「症候性骨髄腫」「症候性非分泌骨髄腫」のみ。この2つの違いは、M蛋白認めるか否か(血清でも尿中でもいい)。

 

参考文献

日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年度版